【9/27】芳本玲 先生(摂南大学)『4.5SH RNAはマウスにおけるSINE B1の有害なエクソン化を抑えるノンコーディングRNAである』

演者:芳本 玲 講師 摂南大学・農学部

日時:2024927日 (金) 17001800

会場:富山大学杉谷キャンパス 薬学研究棟 セミナー室8

参加人数:約30名 

【報告内容】

細胞内には、タンパク質合成の鋳型とならない多数のノンコーディングRNAが存在します。これらの中には、いまだに機能が明らかになっていない分子種が数多く含まれます。芳本先生は、マウスなどの小型・短命齧歯類で進化的に獲得された種特異的ノンコーディングRNAである4.5SH RNAの機能解析を進めたところ、4.5SH RNAのノックアウトマウスは胎性致死であることを発見しました。また、4.5SH RNAのノックアウトマウスでは、スプライシングパターンの変化によりレトロトランスポゾンSINE B1由来の偽エクソンがmRNAに含まれることを明らかとしました。さらに、そのスプライシングパターンの変化には、RNA結合タンパク質であるhnRNP MSFPQNONOなどが関わることが示唆されました。セミナーでは、これらの研究結果と、さらなる研究の展望に関してお話しいただきました。このシステムを用いてスプライシングパターンをコントロールすることで遺伝性疾患を治療できる可能性もあり、今後の研究を通して医療への応用も期待されます。本セミナーには五福、杉谷キャンパスのRNA研究者が多く参加しており、多方面からの活発な議論が行われました。

報告者 井川善也教授 先端ナノ・バイオ科学専攻)