【1/31】兎田 幸司 先生(慶應義塾大学)『古くて新しい学習心理学の現在』

演者:兎田 幸司 先生(慶應義塾大学 文学部 准教授)

日時:2025年131日 17:00-18:30

会場:富山大学 杉谷キャンパス 講義実習等203

参加人数:約32名 

【報告内容】

兎田先生は、長い歴史のある実験心理学、特に学習・条件づけの行動課題と最先端の神経生物学的計測・操作技術を組み合わせることによって、私たちヒトを含めた動物の行動基盤となる心理学的・神経生物学的な構造と、その進化について主にマウス・ラットを対象として、明らかにしようとされています。本講演では、行動主義の立場から、パブロフによる古典的条件づけの実験パラダイムが生まれた歴史的な経緯と、この分野で依然として解明されていない古くて新しい問いへの光遺伝学をはじめとする最近の神経科学の実験技術を組み合わせたご自身の研究についてご紹介いただきました。特に、頭部固定したマウスに単純な行動課題を行わせて調べたマウスの時間の情報処理の神経メカニズムのご研究、マウスの顔のビデオ映像の解析を用いた研究の最新のデータについてお話しいただきました。聴講者からは、今後の研究の展開や他の動物モデルへの応用の可能性についても議論が行われました。

(参考文献)

  1. Toda et al. Nigrotectal Stimulation Stops Interval Timing in Mice. Current Biology 27: 3763-3770, 2017
  2. Yamada and Toda, Habit formation viewed as structural change in the behavioral network. Communications Biology 6:303, 2023