「難治性掻痒症治療薬ナルフラフィンの研究・開発とオレキシン受容体拮抗薬の設計・合成」
講師:長瀬 博 先生
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 特命教授
日時/2019年12月20日 (金)16:30~18:00
会場/富山大学 五福キャンパス 工学部大会議室
世話人/豊岡 尚樹
講演ポスターPDF(684KB)
【セミナー報告】
参加人数:約50名
本公演では、オピオイドκ(カッパ)受容体作動薬であるナルフラフィンの開発に関する内容から始まった。ナルフラフィンは腎透析患者等の重篤な痒みに対して著効を示す優れた医薬品である。競合他社のκ(カッパ)受容体作動薬が軒並み重篤な副作用である薬物嫌悪性によってドロップアウトする中、ナルフラフィンのみが薬物嫌悪性を発現しないことに対する機序に明確な回答を示す一方で、本研究でナルフラフィンが現在極めてホットな薬物開発ターゲットであるオレキシン受容体に対して拮抗作用を示すことを見出した。この発見を足がかりとして、本拮抗作用を100倍向上させたYNT-1310の開発に繋げた。また世界初のオレキシンアゴニストの開発にも成功されている。これらの過程を大変わかりやすく解説いただき、しかもこの一連の研究は長瀬先生が製薬企業からアカデミアを通して一貫して行なってこられた成果であり、創薬化学者のみならず有機合成化学者、薬理学者にとっても極めて示唆に富む講演内容であった。(報告者:豊岡 尚樹)
参加人数:約50名
本公演では、オピオイドκ(カッパ)受容体作動薬であるナルフラフィンの開発に関する内容から始まった。ナルフラフィンは腎透析患者等の重篤な痒みに対して著効を示す優れた医薬品である。競合他社のκ(カッパ)受容体作動薬が軒並み重篤な副作用である薬物嫌悪性によってドロップアウトする中、ナルフラフィンのみが薬物嫌悪性を発現しないことに対する機序に明確な回答を示す一方で、本研究でナルフラフィンが現在極めてホットな薬物開発ターゲットであるオレキシン受容体に対して拮抗作用を示すことを見出した。この発見を足がかりとして、本拮抗作用を100倍向上させたYNT-1310の開発に繋げた。また世界初のオレキシンアゴニストの開発にも成功されている。これらの過程を大変わかりやすく解説いただき、しかもこの一連の研究は長瀬先生が製薬企業からアカデミアを通して一貫して行なってこられた成果であり、創薬化学者のみならず有機合成化学者、薬理学者にとっても極めて示唆に富む講演内容であった。(報告者:豊岡 尚樹)